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未来の小窓(64) 愛国心

 少国民という言葉があった。天皇陛下に仕える小さな皇国民の意味だ。戦前から戦中にかけて盛んに使われたという。少国民の男児の多くは兵隊となり、「お国のために戦う」と願った。今では想像すらできないほどの愛国心があったのだろう。
 愛国心や日の丸・君が代と言うと、目を三角にする人たちがいるが、お隣の中国の学校では、国旗の掲揚は毎週の月曜日に行い、小学・中学・高校生は国歌が歌えなければならないとされていると聞く。愛国心を育てる教育の徹底ぶりがうかがえる。かの国でいう愛国心は、中国共産党とその支配体制を愛することらしい。
 国威発揚の場となりがちな五輪がようやく終わった。菅首相は「やり抜いて良かった」と周囲に手応えを漏らしているそうだが、新型コロナウイルスの新規感染者数は連日1万人を超えている。政権への風当たりは強まるばかりだ。五輪を成功させ、9月に衆院を解散、10月の衆院選を勝利し、先送りした総裁選を無風で乗り切るという戦略も狂い始めたとされる。コロナ対策で手詰まり感があるなか、政府の頼みの綱はワクチン接種といわれる。医療従事者への接種が始まった2月以降、2回の接種を終えた人は約4000万人を超え、今月末までに国民の4割(約5000万人)が2回接種を終える目標を掲げる。
 テレビのワイドショーでは、政府や行政のコロナ対策批判が目立つ。二言目には「政府や行政が危険性を指摘してほしい」「しっかりとした説明で、国民に納得させてほしい」と訴えるが、政府はそれなりには説明しているのではないか。五輪ではしゃいでいたテレビ局や「観覧自粛」の呼びかけに応じず、沿道で臆面もなく声援を送る市民、県をまたいで帰省しようとする市民を批判しなくて良いのか。
 若い世代ほど、ワクチン接種に消極的といわれる。専門家は「副反応など将来的なリスクには敏感な世代。接種をちゅうちょするのは自然なこと」と分析するが、多少なりとも愛国心があるのなら、お国のために接種をし、行動を自粛することはできないのだろうか。愛国心に神経を尖らす人たちからは、「政府の無策が感染拡大の責任」と叱られるだろうが。(時)

未来の小窓(63) ショック・ドクトリン

 NHKのラジオ番組で、ショック・ドクトリンという言葉を知った。津波やハリケーンのような自然災害,政変といった危機で、市民の暮らしが戻る前に、利益追求の市場経済が急速に進んでいくことを指すようだ。「惨事便乗型資本主義」と訳される。
 代表的な事例の一つがインド洋に浮かぶスマトラ島のできごとだ。大地震のあとの津波で、約3万5000人が犠牲になったが、建物がなくなった沿岸部でリゾート開発が進んだ。「天災はチャンスをプレゼントしてくれた」という政府は、観光産業に力を入れるが、零細な漁民を支援するグループは、弱りきった国民に「第二の津波」が襲いかかってきた、と指摘しているそうだ。
ショック・ドクトリンでは経済格差が広がると言われる。今回のコロナ禍ではどうだろうか。「解雇・雇い止め」や「退職強要・勧奨」の相談も関係機関に寄せられていると聞く。非正規雇用だけでなく正社員からも切実な訴えがあるという。
 経済活動の停滞は経済的・社会的弱者にしわ寄せが及ぶ。アルバイト先を失い、食べることにも困る若者も増えている一方で、富裕層の所得は伸び続けている。各国中央銀行の大規模な金融緩和で流入した「投資マネー」は株価を押し上げている。米経済誌フォーブスが発表した世界長者番付(2021年版)で、米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が4年連続で首位になった。資産額10億ドル以上の億万長者は過去最多の2755人にのぼっている。
 景気の回復には、労働者の賃金アップが欠かせない。今年度の最低賃金を巡る国の審議会小委員会は激論の末、28円(全国平均)を目安に引き上げることで決着した。最低賃金の引き上げを景気回復につながるのか。経営側の言うように、人件費の上昇は倒産や廃業の引き金をひくことになるのか。感染拡大が続いてなかいるが、富の再分配をどうするのか、知恵を絞るしかないだろう。(時)

未来の小窓(62) 便利なスマホ

 昭和から平成にかけ、地域を支え続けた鉄道が次々と廃線になっていった。当時の様子を映像で振り返るテレビ番組を見ると、車窓から流れゆく風景を熱心に見ている人々に気付く。車外の景色や車内の様子もほとんど気に留めず、スマートフォン(スマホ)に夢中になっている昨今の乗客を見慣れているだけに、その姿が何とも新鮮に映る。
 通話の機能しかなかったアナログ式の携帯電話に対し、スマホの便利さはいうまでもない。インターネットの利用もでき、レストランの予約、テレビの視聴もできる。カメラやカーナビの代わりにもなる。時計や住所録、スケジュール管理に利用している人もいる。
 スマホをいつも握りしめているような若者もいるが、福岡市私立保育士会と当ネットワークとの共催で開いた保育士の研修会(7月19日)で、横田晋務・九州大学准教授が、スマホの危険性を訴えた。研修会は保育士が対象で、演題は「学力を支える生活習慣」。横田准教授は、各種の調査データを紹介し、「学力に悪影響を与えることは明白」、「長時間のゲームや過度のスマホ使用は、学習効果を打ち消してしまう」などと説明、子どもにスマホを使わせるかどうかについても、慎重に考えることを求めた。
 レストランなどで、スマホの画面ばかりを見ている親子連れや若者グループを見かけることがある。彼らはいかほどの会話をしているのだろうか。画面を見ているだけなら。一緒に食事をする必要はないだろうなどと余計なことも考えてしまう。LINEが気になって仕方がないという若者もいるようだが、便利なスマホが精神状態に影響を与えていることになる。まず、電車やバスの車内ぐらい、スマホをかばんにしまい、車窓の風景を眺めたらどうだろうか。(時)

未来の小窓(61) 五輪開幕

 第32回夏季五輪東京大会が23日、開幕した。新型コロナウイルスの影響で1年延期となった大会には、205か国・地域、難民選手団の選手約1万1000人が参加する。新聞やテレビは、例によって盛り上げようと懸命で、やたらとはしゃぐタレントの笑い声も気になる。
 五輪大好きで知られる、全国紙の編集委員は「選手の勇気に敬意を」と書いていたが、違和感が拭えない。「平和の祭典」と強調するが、核ミサイルの開発に余念のない北朝鮮は参加を取りやめた。紛争や内戦で揺れる地域の代表は今回も難民選手団としての出場を余儀なくされている。感染拡大の懸念を表明していた天皇陛下は、開会宣言で、「祝い」ではなく、「記念」という言葉を使って、挨拶した。入場行進した選手の多くがマスク姿だった。
 国民性かもしれないが、日本人ほど、五輪とノーベル賞に熱狂する国はない、と聞いたことがある。日本が初めてオリンピックに参加したのは、1912年の第5回ストックホルム大会。参加したのは2人で、メダルにはほど遠かった。
近年は世界に伍する力をつけてきており、多くのメダルを獲得しているが、1位の米国と比べれば、5分の1以下にすぎない。かの国では、メダリストの希少性があまりないことが分かる。一方、ノーベル賞は、日本国籍の受賞者が25人なのに、1位の米国は400人近い。
 この熱狂はパラリンピックの閉幕まで、続くかもしれないが、本当に敬意を払う相手は、感染者の治療に当たる医療関係者であり、売り上げの減少に危機感を募らせる飲食店関係者ではないか。高齢者の介護や保育園児の世話を担う人々ではないだろうか。(時)

未来の小窓(60) 低い生産性

 コロナ禍の前まで、訪日外国人が増え続けていたのは、日本の物価の安さも一因らしい。バブル崩壊以降、日本経済はほぼ「ゼロ成長」が続き、先進国のなかで、生産性の低さも目立つ。「良いものを安く」を合言葉に、働き続けたのに、先進国の潮流とかけ離れてしまったようだ。
 低い生産性と聞いて、思い浮かべるのは旅館のお出迎えだろう。女将と仲居が一列に並んで出迎える光景を目にすることもあるが、当方が支払う宿泊費と出迎えの女性の人件費を勘案すると、何とも申し訳ない気持ちになる。仲居の方々の時間給はいかほどだろうか。この手の出迎えを「おもてなし」という言葉に言い換えて美化してしまえば、生産性の向上の難しさが分かる。
 政府の審議会の小委員会が、今年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安を28円と決めた。目安通りに改定されれば、最低賃金の全国平均は930円(現在は902円)となるそうだ。コロナ禍が続く中、使用者側は引き上げに抵抗、「現行水準の維持」を主張したが、感染拡大の中で社会生活を支えるエッセンシャルワーカーの処遇改善などを掲げた労働者側の意見が通った格好だ。公益委員が提示した「28円の引き上げ」案の採決では、出席者11人のうち、使用者代表2人が反対したと報道にあった。
 世界の主要国と比べれば、低い最低賃金。労働者の犠牲のうえに、安い物価や真心のおもてなしが成立しているのかもしれない。福岡市の都市部で運行している西日本鉄道の「100円バス」も7月から「150円バス」になった。「薄利多売は良くない」と指摘する識者も目立つようになった。コロナ禍の今、仕事のあり方が問い直されているのではないか。(時)
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