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未来の小窓(21) 及第点

 ニュースを見ながら、「せこい」という言葉が浮かんだ。新型コロナウイルスの感染拡大で需要が落ち込んだ飲食店を支援する「Go To イート」事業の話だ。グルメサイトを通じ、飲食店を利用した際にポイントが付与されるシステムだが、店での飲食を意図的に少なくし、支払額以上のポイントを受け取ろうとするケースが相次いでいるという。このため、政府は得られるポイント以上の支払いとなる飲食を求めるよう店に指示するそうだ。
 コロナ禍で苦しむ飲食業界を助けようと始まった政策だが、「せこいことを恥じない」人たちは、制度の隙を突き、「俺は頭がいい」とでも思っているに違いない。原資が税金であることや手数料などを支払う飲食店に損害を与えていることに考えは及ばないのだろう。
 成熟社会となり、どんな事業でも「満点」の政策は難しい時代になった。認可保育所などに希望しても入れない「待機児童」も施設の増加もあって減少しているようだが、育児休業の延長に必要な「落選通知」を得るために形だけ申し込むケースを、多くの自治体がカウントしなくなったのも一因という。
  待機児童の解消にはさらに増設が必要だが、コロナ禍もあって,保育士を採用する説明会を開けていない自治体や事業者も少なくない。保育士を確保できなければ、建物ができても、園児の受け入れはできない。せこいことを恥じない人たちが増えているなかで、満点は難しいが、及第点が取れる政策が幼児教育の分野でも求められている。(時)
 

未来の小窓(20) 看脚下

 未来の小窓(20)
 禅宗の寺院で、「看脚下」の看板を見かけることがある。看板は玄関にあり、「靴をそろえなさい」ということだ。翻って、自分自身の足元を見て、生き方を深く反省しなさいという意味が込められているという。
 この教えに少しでも耳を傾けてほしいのが、米国のトランプ大統領かもしれない。新型コロナウイルスに感染し、入院したものの、わずか3日で退院した。11月3日の大統領選の投開票日まで1か月を切り、ウイルスに打ち打ち克った強い指導者が復活したことを国民に見せたかったのだろう。退院後、「新型コロナを恐れるな」「あなた方には最高の医療設備と薬がある」と国民に訴えた。
 確かに、大統領が受けた医療は最高だったに違いないが、米国の死者は21万人を超え、世界で最も多い。健康保険制度が十分に整備されていないため、医療を受けることも難しい国民は少なくない。経済格差は20年ほど前から改善傾向が続いてきたというが、感染拡大や景気後退で反転しているらしい。世界銀行は10月7日、1日1・9ドル(約200円)未満で暮らす「極度の貧困層」が7億人を超えるとの推計を発表している。格差社会の米国で、「看脚下」という言葉が重い。(時)

未来の小窓(19) 芝生の運動会

 未来の小窓(19)
 いるべ保育園(福岡市早良区)の運動会に出向いた。会場は近くの市立今宿野外活動センター・自由広場(約20000平方メートル)。例年、小学校の校庭を借りていたが、コロナ禍の今年は、叶岳(341メートル)や高祖山(416メートル)などの山々に囲まれた緑豊かな場所にしたという。
 学校行事を取りやめる小学校、保育園、幼稚園が相次ぐなかだけに、いるべ保育園では会場を変更したほか、参加者を4歳児、5歳児の計約50人に絞った。プログラムの種目も減らし、競技時間も短縮していたが、心地よい秋風が吹くなか、園児たちは始まる前から歓声を上げながら、走り回っていた。会場では「本番では疲れ切ってしまうのでは」と心配する声も聞かれた。
 今、教育現場では、感染予防に加え、学習の遅れを取り戻すことを優先させている。保護者の目を意識してか、運動会と言えば、練習にたくさんの時間をかける小学校もあるだけに、手間がかかり、参加者が「密」になりがちな運動会は、真っ先に中止になるのかもしれないが、学校行事はそもそも保護者のためにするものではない。練習をあまりせず、「保護者なし」や、学年ごとの分散開催も可能だろう。要は工夫次第だ。関係者には子供たちのためを考えて、一層の知恵を絞ってほしい。

未来の小窓(18) 定常人口

 未来の小窓(18)
 「交流人口」という言葉をよく耳にするようになった。その地域を訪れる人を指す。買い物、習い事、観光など目的は問わない。一方、その地域に住む人を指すのが「定住人口」だ。都市のステイタスが人口規模だったこともあったが、人口減少社会となり、定住人口の増加は見込めなくなった。このため、多くの自治体が、交流人口を増やすことに力を入れている。
 元厚労官僚の山崎史郎氏は、著書「人口減少と社会保障」のなかで、「出生率が回復しないと、(おおむね人口が安定する)も定常人口は実現しない。出生率の回は究極の高齢化対策」と説く。2030年に若い世代の希望出生率1・8となり、2040年に2・07まで回復すると、2060年の人口は約1億200万人となり、長期的は9000万人で安定するという。
 菅首相は就任後初の記者会見で少子化対策に力を入れると強調した。基本方針の一つに「不妊治療への保険適用の実現も明記したが、少子化対策が進まなかったのは、未婚の増加や雇用の悪化に十分な対応をしなかったことが大きな理由だろう。それなりの収入がなければ、出産や子育てはできない。不妊対策も良いが、夫が家事に参加できるような働き方改革、保育環境の整備、育児費用の支援など、幅広い「子育て応援」が何より欠かせない。(時)

未来の小窓(17) スマホ依存

未来の小窓(17)
 果物のなかで、日本人がバナナを最も食べることを、NHKの番組で知った。バナナが初めて台湾から日本に持ち込まれたのは1903年。昭和の初めごろまでは、病気のときにしか口にできない高級品だった。令和の今は、年間100万トンも輸入しており、手ごろな値段で買えるようになった。携帯電話を片手で操作しながら、もう一方の手で食べられる「ワンハンドフード」であることが、バナナ人気の理由の一つだという。
 菅首相が携帯電話料金の引き下げに意欲を見せている。就任会見でも言及した。市場を大手3社が独占し、大きな利益を上げているのは、けしからんということだろう。ほかの国に比べ、料金が高いのは事実のようだが、地下鉄や新幹線の車内でも利用できるのは日本だけらしい。筆者は電話とメールぐらいしか使わないので、定かではないが、驚くほど多くのの機能があり、ゲームや音楽などを楽しむ人も多いようだ。料金引き下げより、機能が少なくて、飛びぬけて安い機種を奨励してほしい。
 今や生活に欠かせなくなった携帯電話だが、内閣府の調査によると、スマートフォン依存の若者が増えているそうだ。高校生の91.9%がスマホを使い、3人に2人は一日に3時間以上利用している。時間つぶしも調べものもスマホという若者もいる。年間一冊の本も読まないという大学生も多い。大学生の書籍代は1か月に平均2000円に満たないという調査結果も目にした。料金の引き下げが、よりスマホ依存を高め、本も読まず、考えない若者を増やすことにならないか。その方が心配になる。(時)

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