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未来の小窓(42) 横板に雨だれ

 落語の「大工調べ」。聞かせどころは、何と言っても、大工の棟梁の啖呵(たんか)だろう。家賃の滞納のかたに取り上げた道具箱に返さない家主に対し、「てめえなんぞ,血も涙もねぇ、目も鼻も口もねぇ、のっぺらぼうの野郎だから丸太ん棒てんだ。人間の皮をかぶった畜生だ」とまくしたてる。 立てた板に水をかけるような啖呵に客席から拍手が起きることも少なくない。
 「立て板に水」と逆の言葉が、「横板に雨だれ」だろう。雨だれ以上にたどたどしい語り口が「横板に餅」らしい。聞いている方がじれったくなることも多い。
 菅義偉首相の会見の評判が今一つだ。最近、少し上手になったようだが、残念ながら、真摯に国民に語りかけているようには見えない。官僚が練り上げた文書を読み上げているだけでは、面白みにも欠ける。「来賓あいさつ」と呼ぶ人もいるそうだ。
 ドイツのメルケル首相は「あなた」という二人称を使って、記者の向こうにいる国民に感染対策を語りかけた。弁護士のイタリアのコンテ首相はテレビ演説で、「イタリアの法律では人の命を何よりも守らなければなりません。だから、私はそれを行使します。これから都市を閉鎖し、経済的に皆さんにご迷惑をおかけするでしょう」と訴えた。 欧米の政治家は、自分の言葉で国民に響く演説ができるかどうかが問われると聞く。
 欧米のエリートは、幼少期から話し方を学ぶそうだが、日本の政治の世界は、演説があまり重視されない。菅内閣のスポークスマン、加藤勝信官房長官も「承知している」を多用する。「承知している」で、どこまで国民に理解を求めることができるだろうか。(時)
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