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未来の小窓(37) マスクの日常

 幼い子供の何気ない一言にハッとさせられることがある。1月29日付読売新聞朝刊の「こどもの詩」。「この子たち、マスクしてないね。どうして?」。絵本を見ていた、保育園の年少クラスの園児の問いかけだ。「マスクのある風景」が、日常の風景になっていることが分かる。
 民俗学の世界では、日常は褻(け)と言う。一方、非日常は晴れだ。民俗学者の柳田國男が提唱した。人生の節目の「晴れの日」には、晴れ着姿で、餅や赤飯、御頭つきの魚で祝う。「晴れ着」に対し、普段着を「褻着」と言っていたころもあったらしいが、褻着は明治以降に使われなくなったと聞く。
 新型コロナウイルス感染の収束の兆しが、依然として見えないなか、緊急事態宣言が延長された。菅首相は「感染拡大の収束が最優先課題」と強調している。テレビを見ても、新聞を読んでも、マスク着用、うがい、手洗いの呼びかけを耳にする今、絵本の子どもの姿に首をかしげた園児の通う保育園でも、感染対策に追われる毎日となっているのだろう。
 晴れの日と違い、「褻の日」は、変化に乏しい。退屈かもしれないが、退職する会社員が「おかげで、大過なく過ごすことができた」と挨拶することを考えると、日常の大切さが分かる。絵本と同様のマスクなしの日常がいつ戻るのか。首を長くして、待つしかないのが何とももどかしい。(時)
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