未来の小窓(151) 泡銭
東大生が難しいクイズに挑戦するテレビ番組が人気を集めている。先日の番組で、東大医学部の女性が、泡銭(あぶく銭)を「ほうせん」と読んでいた。優秀な成績で高校を卒業したであろう女性は、競馬やパチンコで、思わぬお金を手にしたことがないのかもしれない。泡のように消えてしまう金とは、縁遠い人生なのだろう。
教科書や参考書には、一般的に悪事や悪業は取り上げられない。多分、妻や情婦が、ほかの男を誘惑し、それをネタに相手の男から金品をゆすり取る、美人局(つつもたせ)も登場しない。歌舞伎で有名な台詞と言えば、「銭と違って 金包み こいつぁ春から 縁起がいいわえ」だが、金包みは、夜鷹を川に突き落とし、奪った100両だ。時代小説や落語でも一般的な言葉も、入試問題としては出題しにくいだろう。
最難関とされる東大には、世帯年収が高い家庭出身の学生が多い。日本の平均世帯年収は500万円台、中央値は400万円台だが、東大学生委員会が2021年実施した学生生活実態調査によると、「東大生の世帯年収」が1050万円以上と答えた学生は4割を超える。 専業主婦の家庭が多く、父親は医師や大企業の幹部だったりすると聞く。小学生の頃から習い事をして、 私立中高に通いながら、複数の塾に行っていた学生も少なくないのだろう。
経済的に恵まれた家庭で生れたことが喜ばしいことだが、人生の<負の側面>を知らないままに育っているのではないか。受験のためだけの勉強をしてきた若者もいるかもしれない。最終学歴で、その後の人生は決まってしまう傾向は薄まっているが、今なお、官界や経済界のリーダーに東大生は少なくない。だからこそ、ともすれば悪行に走ってしまわざるを得ない人々にも、今少し関心を持ってほしい。(時)
教科書や参考書には、一般的に悪事や悪業は取り上げられない。多分、妻や情婦が、ほかの男を誘惑し、それをネタに相手の男から金品をゆすり取る、美人局(つつもたせ)も登場しない。歌舞伎で有名な台詞と言えば、「銭と違って 金包み こいつぁ春から 縁起がいいわえ」だが、金包みは、夜鷹を川に突き落とし、奪った100両だ。時代小説や落語でも一般的な言葉も、入試問題としては出題しにくいだろう。
最難関とされる東大には、世帯年収が高い家庭出身の学生が多い。日本の平均世帯年収は500万円台、中央値は400万円台だが、東大学生委員会が2021年実施した学生生活実態調査によると、「東大生の世帯年収」が1050万円以上と答えた学生は4割を超える。 専業主婦の家庭が多く、父親は医師や大企業の幹部だったりすると聞く。小学生の頃から習い事をして、 私立中高に通いながら、複数の塾に行っていた学生も少なくないのだろう。
経済的に恵まれた家庭で生れたことが喜ばしいことだが、人生の<負の側面>を知らないままに育っているのではないか。受験のためだけの勉強をしてきた若者もいるかもしれない。最終学歴で、その後の人生は決まってしまう傾向は薄まっているが、今なお、官界や経済界のリーダーに東大生は少なくない。だからこそ、ともすれば悪行に走ってしまわざるを得ない人々にも、今少し関心を持ってほしい。(時)
スポンサーサイト