未来の小窓(98) 五感
動物やヒトが外界を知るために働かせるのが五感といわれる。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を指す。新型コロナウイルスに感染すると、嗅覚に異常が出るケースもあるようだが、一つでも機能が失われると、日常生活に支障が出ることは、容易に想像できる。感染すると、次第に五感が奪われていく奇病が蔓延する世界を描いたイギリスのドラマもあった。
評論家の輿那覇潤さんは「今の時代は、五感のうち、視覚情報だけ飛躍的に発達。目ばかりを酷使する『過剰可視化社会』ではないか」と指摘している。背景には、多様なメディアの発展があるそうだ。NHKラジオのカルチャー番組で講演していた。
輿那覇さんによると、国家は都合を悪いことを隠す傾向があるので、30年ほど前から「情報の見える化」(可視化)をすれば、民主的な国家が生まれる、という大きな流れができたという。たくさんの写真や映像があふれるようになり、個人が発信できるSNSも登場した。SNSは民主主義を進化させるツールと期待されていた時期もあったが、今では「プラス面」はあまり言われなくなった。
SNSの世界では、対面する時には感じ取れていた触覚的な感覚がなくなり、言語だけを「視覚」で介するようになった。今回のコロナ禍は、その傾向に拍車をかけたようで、SNS絡みの犯罪も増えている。実在の企業などになりすましたメールを送りつけ、偽サイトに接続した人に個人情報を入力させて盗みとるのがフィッシング詐欺も急増している。未成年の子どもが巻き込まれるケースも少なくない。
SNSだけでなく、ゲームにはまってしまい、画面ばかりを見つめる生活が続く若者もいる。視覚ばかりに頼らず、五感を働かせない日々が続くようだと、ヒトの姿も変わってしまうのかもしれない。(時)
評論家の輿那覇潤さんは「今の時代は、五感のうち、視覚情報だけ飛躍的に発達。目ばかりを酷使する『過剰可視化社会』ではないか」と指摘している。背景には、多様なメディアの発展があるそうだ。NHKラジオのカルチャー番組で講演していた。
輿那覇さんによると、国家は都合を悪いことを隠す傾向があるので、30年ほど前から「情報の見える化」(可視化)をすれば、民主的な国家が生まれる、という大きな流れができたという。たくさんの写真や映像があふれるようになり、個人が発信できるSNSも登場した。SNSは民主主義を進化させるツールと期待されていた時期もあったが、今では「プラス面」はあまり言われなくなった。
SNSの世界では、対面する時には感じ取れていた触覚的な感覚がなくなり、言語だけを「視覚」で介するようになった。今回のコロナ禍は、その傾向に拍車をかけたようで、SNS絡みの犯罪も増えている。実在の企業などになりすましたメールを送りつけ、偽サイトに接続した人に個人情報を入力させて盗みとるのがフィッシング詐欺も急増している。未成年の子どもが巻き込まれるケースも少なくない。
SNSだけでなく、ゲームにはまってしまい、画面ばかりを見つめる生活が続く若者もいる。視覚ばかりに頼らず、五感を働かせない日々が続くようだと、ヒトの姿も変わってしまうのかもしれない。(時)
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