未来の小窓(60) 低い生産性
コロナ禍の前まで、訪日外国人が増え続けていたのは、日本の物価の安さも一因らしい。バブル崩壊以降、日本経済はほぼ「ゼロ成長」が続き、先進国のなかで、生産性の低さも目立つ。「良いものを安く」を合言葉に、働き続けたのに、先進国の潮流とかけ離れてしまったようだ。
低い生産性と聞いて、思い浮かべるのは旅館のお出迎えだろう。女将と仲居が一列に並んで出迎える光景を目にすることもあるが、当方が支払う宿泊費と出迎えの女性の人件費を勘案すると、何とも申し訳ない気持ちになる。仲居の方々の時間給はいかほどだろうか。この手の出迎えを「おもてなし」という言葉に言い換えて美化してしまえば、生産性の向上の難しさが分かる。
政府の審議会の小委員会が、今年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安を28円と決めた。目安通りに改定されれば、最低賃金の全国平均は930円(現在は902円)となるそうだ。コロナ禍が続く中、使用者側は引き上げに抵抗、「現行水準の維持」を主張したが、感染拡大の中で社会生活を支えるエッセンシャルワーカーの処遇改善などを掲げた労働者側の意見が通った格好だ。公益委員が提示した「28円の引き上げ」案の採決では、出席者11人のうち、使用者代表2人が反対したと報道にあった。
世界の主要国と比べれば、低い最低賃金。労働者の犠牲のうえに、安い物価や真心のおもてなしが成立しているのかもしれない。福岡市の都市部で運行している西日本鉄道の「100円バス」も7月から「150円バス」になった。「薄利多売は良くない」と指摘する識者も目立つようになった。コロナ禍の今、仕事のあり方が問い直されているのではないか。(時)
低い生産性と聞いて、思い浮かべるのは旅館のお出迎えだろう。女将と仲居が一列に並んで出迎える光景を目にすることもあるが、当方が支払う宿泊費と出迎えの女性の人件費を勘案すると、何とも申し訳ない気持ちになる。仲居の方々の時間給はいかほどだろうか。この手の出迎えを「おもてなし」という言葉に言い換えて美化してしまえば、生産性の向上の難しさが分かる。
政府の審議会の小委員会が、今年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安を28円と決めた。目安通りに改定されれば、最低賃金の全国平均は930円(現在は902円)となるそうだ。コロナ禍が続く中、使用者側は引き上げに抵抗、「現行水準の維持」を主張したが、感染拡大の中で社会生活を支えるエッセンシャルワーカーの処遇改善などを掲げた労働者側の意見が通った格好だ。公益委員が提示した「28円の引き上げ」案の採決では、出席者11人のうち、使用者代表2人が反対したと報道にあった。
世界の主要国と比べれば、低い最低賃金。労働者の犠牲のうえに、安い物価や真心のおもてなしが成立しているのかもしれない。福岡市の都市部で運行している西日本鉄道の「100円バス」も7月から「150円バス」になった。「薄利多売は良くない」と指摘する識者も目立つようになった。コロナ禍の今、仕事のあり方が問い直されているのではないか。(時)
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