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未来の小窓(55) 我田引水

 水を張った水田に目が引くようになった。早苗が風に揺れる光景は心が和むものだろう。人の手で1本ずつ植えていく田植えは重労働だったが、田植機の登場で一変した。
 稲作と言えば、欠かせないのが水だ。隣近所が協力し、みんなで均等に使うことがマナーだったが、自分の水田だけに水を入れる人もいた。用水の配分で、いさかいになることも多く、ここから「我田引水」の言葉が生まれた。今では、自分だけが良ければ良いという振舞いだけでなく、自分に都合の良いことばかりを声高に主張する時にも使われる。
 一定以上の収入がある75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる改正高齢者医療確保法が可決、成立した。医療費を賄う現役世代の負担を軽減するのが狙いだ。自民党、公明党などが賛成し、立憲民主党、共産党などが反対に回った。「現役世代の負担軽減効果は1人当たり700円で、効果が薄い」というのを、反対の理由に挙げていた。
 確かに、現役世代の負担軽減効果は1人当たり700円だが、後期高齢者の医療費は、9割近くを現役世代が払う支援金や公費で賄っている。高齢者自身が支払う保険料は約1割だ。野党は「700円」ばかりを強調するが、今回の制度改正で、年間で支援金720億円、公費980億円が削減できることに言及しないようだ。
 今後、団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをする。さらに医療費の増大が見込まれる。コロナ禍もあって、日本の財政は大きく傷んでいる。自分に都合の良いことばかり並べるのは、選挙を前にした「我田引水」ではないのだろうか。(時) 
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