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未来の小窓(143) 間かく

 久しぶりに福岡空港(福岡市)を利用した。下火になってきたとはいえ、コロナ禍が続いていることから、ベンチには、ソーシャルデスタンスを呼びかける張り紙があった。驚いたのは文面。「他の方々と1メートルほどの適切な間かく取ってお座りください」とあり、「適切な間かく」の部分が大きな文字になっていた。「隔」は中学2年生で学ぶ漢字なので、小学生にも分かるように、「間かく」にしたのかもしれない。
 我が家を顧みても、小学生の孫が「その漢字は習っていない」と答えるのを時々、耳にする。子どものころは、背伸びをして、新聞やいろいろな本を接することで、いろいろな漢字を覚えていくのではないか。「間隔」は、コロナ禍で社会に随分と浸透した熟語だ。社会に少しでも関心があれば、小学生でも読めて、意味も理解できるのではないか。
 将棋や囲碁はもちろん、さまざまな分野で、活躍するAI(人工知能)だが、これまで読み書きができないことが指摘されてきた。読解力の大切さが言われてきたが、2022年末以降、読み書き能力が進化した「ChatGPT(チャットGPT)」の話題を耳にすることが多くなった。米国・サンフランシスコの人工知能の研究機関が開発した。ユーザーの質問に対し、巧みに気の利いた回答をしてくれる能力を備えているそうだ。
 将棋や囲碁はもちろん、ヒトは計算能力や記憶力ではAIに敵わない。AIが「読解力」を身に付けたとすれば、ヒトはどこで勝てば良いのか。「何年生の漢字」と言って、変に考慮するような社会で良いのだろうか。(時)

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未来の小窓(142) 紙おむつ

 室町時代から宮中や院に仕える女性たちが使い始めたのが女房言葉だ。今では多くの家庭で使われている言葉も少なくない。「おでん」や「しゃもじ」は、その代表だろう。赤ちゃんの「おむつ」も女房言葉に由来することを最近、知った。
 インターネットで検索すると、赤ちゃんを包む 「むつき」には、「大」「小」の二つがあった。「大きいむつき」で赤子の体全体をくるみ、排便を始末するため、股間にあてた「小さいむつき」は「お湿(しめ)し」とも呼ばれた。その後、体全体をくるむ習慣はなくなり、「おむつ」という言葉だけが残り、「おしめ」と混同されて使われるようになったという。
 厚労省は今年1月、自治体に対し、使用済みおむつの処分を施設でするように推奨する通知を出した。併せて、保管用のごみ箱購入費用への補助制度があることも周知した。排泄物を長時間保管し、その後、保護者が持ち運ぶことが、衛生面からも問題になっており、園内での処分を望む声が出ていたそうだ。「保護者の持ち帰り」としてきた自治体は通知を受け、対応を急いでいる。
 おむつは持ち帰れば家庭ごみだが、園内で処分すると事業ごみになる。処分費用を賄うには、新たな予算措置が必要になるため、「保護者に負担を求めることも含めて検討したい」という自治体もあると聞く。
 「使って捨てる」紙おむつは、布オムツよりお金がかかる。石油から作られているので、肌にもやさしいとは言えないが、手軽なことは間違いない。「施設内で処分」の新聞記事を読みながら、保育士になんでもお任せの風潮がさらに強まるのではないか、との思いもチラリと頭をよぎった。(時)

未来の小窓(141) 若気の至り

 縁談をまとめるために使う言葉を仲人口という。定番は「気立てが良くて、美人」かもしれない。美人はともかく、気立ての「気」は、日常生活のさまざまな場面に使われるようだ。最近はとかく荒ぶる「気」を持つ人が多いせいか、血なまぐさい事件報道も相次ぐ。外国の収容所から強盗や殺人を指示していたとされる「ルフィ」グループの存在が明るみに出た。
 ルフィ事件は報道番組を乗っ取った感があるが、テレビや交流サイト(SNS)では、若気の至りとも言える「事件」も騒ぎとなった。大手回転ずしチェーン「スシロー」の岐阜市内の店舗で、金髪の高校生が卓上のしょうゆ差しの注ぎ口をなめるなどする迷惑行為を捉えた動画が拡散した。岐阜県警は偽計業務妨害の疑いで捜査しており、交流サイト(SNS)上で最初に動画を拡散させた知人とみられる関係者も書類送検する方針という。
 スシローは迷惑行為を受け、当該店舗のすべてのしょうゆボトルの入れ替えと、湯飲みの洗浄を余儀なくされた。動画拡散後、株価は160億円以上も下落した。高校生が通っていた高校にはクレームが相次ぎ、高校生は自主退学したそうだ。普段は黒髪なのに、「冬休みの間だけはじけたい」と両親の許可をもらって、金髪にしていたとされるが、老年の身には、「はじけたいから金髪」の気持ちは分からない。
 同様ないたずら行為は、各地の飲食店で発覚している。悪ふざけという範囲を逸脱した「若気の至り」で許されるのは何歳なのだろうか。学生時代と思う人もいるかもしれないが、それでは高卒と大卒では、年齢が違うことになる。10代の頃の失敗こそが若気の至りだと考える人も多いかもしれない。
 くだんの高校生はSNSの「いいね」を欲するがために、余波を考えずにSNSにアップしたのだろう。相次ぐ事件を耳にすると、相手や周囲、社会の「気」が分からない人が増えていることだけは間違いない。(時)

未来の小窓(140) 言葉巧み

 小説家で、映画監督の村上龍の代表作の一つに「13歳のハローワーク」(幻冬舎)がある。仕事について考えるきっかけになると思われたのか、ベストセラーとなった。500を超える職業が紹介されている。
 詐欺師や泥棒は正式な「仕事」ではない。高齢男性の遺産目当てに結婚する「後妻業」も同様だろう。後妻業は小説のタイトルにもなり、映画にもなった。2007年から2013年にかけ、京都府、大阪府、兵庫県の3府県で、高齢男性3人が青酸化合物によって殺害された事件もあった。死刑判決を受けた女性は、言葉巧みに男性に近づいたに違いない。
 政治の世界で批判の的になっている旧統一教会と接点があったと指摘された市議会議員の釈明文書が自宅のポストに投函されていた。文書によると、議員の議会報告者を読み、感銘を受けたという女性から電話があり、教会の関連団体の役員と面会した。議員の活動を褒めたうえで、団体の催しの出席と「平和大使」の就任を依頼された。平和大使は断ったが、大会の出席は懇願され、やむなく了承したそうだ。その後、安倍元総理の銃撃事件があり、先の女性から「迷惑がかかっているのではないか」という電話があり、初めて教会の関連団体と説明されたという。
 四年に一回、選挙を抱える議員は、「会いたい」と言われれば、「一票」と考えて、安易に接触しがちだ。くだんの市議も「慎重に接しなければならない」と反省していた。
 オレオレ詐欺や原野商法、結婚詐欺をみても、言葉巧みに接してくる輩は少なくない。このところのニュースは、闇バイト強盗事件でもちきりだが、コメンテーターが「宅配業者が来ても、すぐに玄関のドアを開けてはいけない」と強調している。そんな時代の風潮が何とも情けない。(時)

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