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未来の小窓(139) 5類に変更

 保育園によって違いがあるが、保育園の主任保育士はおおむね20年以上のキャリアを持つそうだ。園長、副園長に次ぐ、現場のリーダーと言える。各クラスの担任保育士から学年主任保育士を経て、園全体の主任保育士となるのが一般的という。
 主任保育士専門研修会が1月20日に開かれた。福岡市私立保育士会と共催で、講師は松尾宗明・佐賀大医学部教授。「保育所における感染症対策」の演題で、新型コロナウイルス感染対策にも言及した。研修会後の懇談で、保育施設も医療機関も濃厚接触者が複数出た場合、休みの職員を出勤させるなどして、不足する人員を補ってきたという「苦労話」になった。
 新型コロナウイルスの感染症法上の分類について、政府は5月8日に現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針を固めた。国内のコロナ感染確認から3年を経て、社会経済活動の大幅な緩和されることになった。現在、感染者に原則として7日間の療養、濃厚接触者に5日間の待機が求められているが、5類になれば、法に基づく療養や待機がなくなるそうだ。
 研修会で、松尾教授はノロウイルス嘔吐物の処理の仕方、アルコール消毒液の使用法も説明したが、何とも手間のかかかる面倒な仕事と分かった。実際の現場では、保育士のご苦労はいかばかりだろう。発熱、下痢などの症状があっても、共働きの保護者はすぐには駆けつけられないと聞く。5類の変更が職員の負担軽減につながるのだろうか。多忙な保育士の業務が、少しでも緩和されるのなら喜ばしい。(時)
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未来の小窓(138) 監視カメラ

 福岡市・JR博多駅前の路上で、元交際相手の女性を刺殺した疑いで、31歳の男が逮捕された。男はフードをかぶって、伊達メガネ、マスク姿だったが、「見当たり捜査」の警察官が発見したという。
 見当たり捜査は、顔写真や外見の特徴を記憶、雑踏の中から見つけ出す捜査手法。1978年、大阪府警で初めて導入され、全国に広がった。刑事ドラマや小説の題材にもなっている。監視カメラやAI(人工知能)が登場したことで、古典的な手法の感も否めないが、今回の事件では、ヒトの目が変装を見破ったわけだ。「監視カメラは人を見つけ出す能力は高いかもしれないが、すぐに逮捕状を執行することはできない」と話す捜査員もいる。
 1月19日付けの読売新聞で、神奈川県藤沢市の認可保育所が23台の防犯カメラを園内に設置していることを紹介していた。保育士の目が届かないところで起きた、けがやけんかの原因究明にも生かせるようにと、次第に数を増やしていったそうだ。園長は「子どもがけがをしたときに客観的な事実を確認でき、保護者への説明や改善に生かせる。虐待の抑止にもなると思う」と話していた。監視カメラの設置は、園児への虐待や不適切保育が全国で相次いでいることも背景にあるのだろうが、保育士の勤務ぶりをチェックしているようにも見える。
 お隣の中国では、2億台を超える監視カメラが稼働していると聞く。「天網恢恢(かいかい)疎にして漏らさず」という成句に由来する監視システム「天網」で、信号無視やパジャマでの外出などの軽犯罪をした国民の氏名や顔写真などの個人情報がさらされるケースもあるそうだ。インターネットでの書き込みも監視されているが、「交通事故が減り、治安は大幅に改善された」と多くの国民が歓迎しているという。
 治安の改善はその通りだろう。日本でも監視カメラが、「活躍」する幼稚園や保育園が増えていくのだろうか。(時)

未来の小窓(137) 偶然

 グループで何かの順番を決める場合、じゃんけんをする日本人が多い。コインや阿弥陀くじという手もあるが、道具を用意する必要がなく、短時間で決着できるのが良いだろう。いわゆる「三すくみ」の関係になる遊戯は、東アジアから東南アジアにかけてみられる。
 一方、ヨーロッパ人は自分が何番目にやりたいかは、明確に主張するそうだ。「ロック」「ペーパー」「シザース」の偶然に任せるべきではなく、本格的に議論を始めるらしい。NHKで、外国人とのトーク番組の司会者、鴻上尚史子さんの著書「世間ってなんだ」で紹介している。互いの意見が対立すれば、弁舌の立つ子、説得力のある子、腕力で威圧する子が勝つという文化を、幼いことから経験するわけで、運動会で、同じ速さの子どもたちで競わせたり、手をつないでゴールさせたりする「平等大好き」の人たちには、違和感があるかもしれない。
 偶然のようなじゃんけんでも勝ち方があるようだ。桜美林大の芳沢光雄教授が、学生を集め、じゃんけんをさせたところ、最も多いのは、グーで35.0%、パーは33.3%、チョキは31・7%だった。つまり、最初にパーを出せば、勝つ確率が上がる。2回連続でじゃんけんをした10833回のうち、同じ手を出す確率は、3分の1を下回る22.8%に留まった。つまり、「パー」→「グー」→「チョキ」の順番に出せば、勝つ確率が高くなるという結論だった。もちろん、相手がこの理屈を知っていれば、勝つことは難しくなる。
 偶然にばかり頼るわけにはいかないのが、今の日本だろう。物価は上がる、賃金はなかなか上がらない。先行きは不透明といわざるを得ない。憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して」とあるが、平和を愛する諸国は見当たらず、取り巻く情勢は厳しい。じゃんけんで決まるような生半可な状況ではないのは確実だろう。(時)

未来の小窓(136) 異次元

 藤子・F・不二雄の漫画「ドラえもん」は、22世紀からやってきたネコ型ロボットとご先祖に当たる「のび太」の日常を描く。人気を支えているのは、いろいろな「ひみつ道具」だろう。行きたいところに行ける「どこでもドア」、頭に付けると空を飛べる「タケコプター」はおなじみだ。ひみつ道具を収納しているのは四次元ポケット。ロボット学校の校長からプレゼントされたもので、ドラえもんの腹部から取り外すこともできる。使いこなせるかどうかは本人の技量次第で、しずかちゃんは上手に使いこなしたが、のび太が使うと、失敗続きとなる。
 次元は空間の広がりをあらわす一つの指標と定義される。現実の世界は3次元と教わったが、4次元となると、今一つピンと来ない。異次元ともなれば、いよいよ分からない。
 岸田首相は年頭の記者会見で、「異次元の少子化対策」を今年の優先課題の一つとした。児童手当などの経済的支援の強化、学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、働き方改革の推進――を3本柱として掲げた。コロナ禍で、婚姻数が減ったこともあって、昨年の出生数は、初めて80万人を割る見通しとなった。想定よりも早い。経済の低迷、人口の減少で、社会には重い閉塞感が漂う。出生数の減少に歯止めをかけなければ、社会の活力まで失われて、医療や年金、介護など社会保障制度の存続も危ぶまれる。
 「異次元」というからには、岸田首相には、子どものいる家庭の税を減免したり、出産に伴う医療費を無料にしたりといった思い切った政策を期待したい。東京都も首相会見と同じ日、18歳以下の子どもがいる都内の家庭に、子ども1人あたり月5000円程度を給付する方針を明らかにしている。所得制限を設けず、2023年度の給付開始を目指すという。もう、子どのいない家庭との「公平」にこだわっているわけにはいかない。(時)

未来の小窓(135) 験担ぎ

 北海道帯広市の愛国駅から幸福駅行きの乗車券が大きなブームになったことがある。NHKの番組で紹介されたことがきっかけで、「愛の国から幸福へ」がキャッチフレーズだった。「愛国から幸福」の乗車券は最盛期、4年間で1000万枚も売れたという。両駅とも利用客の減少で廃止されたが、今も多くの観光客が訪れる人気スポットになっている。
 縁起物にあやかって、幸せを呼び込みたいと考える人は多いいようだが、「験(げん)担ぎ」が過ぎると、笑い話のネタになってしまう。落語の新春の演目にもなっている「かつぎや」は、「験担ぎ」にこだわる主人と奉公人のやりとりが笑いを誘う。江戸時代に逆さ言葉が流行し、縁起が「ぎえん」となり、それが変化し、「験担ぎ」となったらしい。
 「験担ぎ」は社会のさまざまな場面にみられる。受験生に「すべる」や「落ちる」という失敗を連想させる言葉を使わなかったり、試合前にステーキとかつ丼を食べ、「敵に勝つ」こと祈ったりするのも一例だろう。
 新年を迎えた。世界情勢は予断を許さない。ロシアがウクライナに侵攻、和平の兆しはない。台湾有事の懸念はかつてないほど高まっている。甚大な災害も増えている。国内でも静岡県裾野市で3人の保育士が暴行容疑で逮捕されたり、埼玉県飯能市で3人が殺害されたり、驚くような、呆れるような事件が続く。
 2023年は卯年だ。卯は成長や春を表し、寒い冬の時代が終わり、これまでの努力が開花する年という。「験担ぎ」かもしれないが、今年こそ明るい年になりますように。
 今後とも当ネットワークをよろしくお願いします。(時)
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