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未来の小窓(130) 喝を入れる

 「活を入れる」は落ち込んでいる人を元気付けること。スポーツ選手を「喝」と「あっぱれ」で評価するテレビ番組の影響からだろうか、「喝を入れる」とする人もいるそうだ。「喝」は修行者を叱責する時に使われるという。
 知人が亡くなった。葬儀に参列したところ、導師が臨済宗の僧侶で、久しぶりに「喝」という大きな声を聞いた。現世への未練を断ち切り、故人を浄土へ進ませるための「喝」だ。知人は人並み以上に好奇心が旺盛だったから、「迷わずに仏の道へ行け」という大声が妙に納得できた。
 ここ数日の新聞をめくると、サッカー・W杯で、日本がドイツに勝利したニュースの横で、東京五輪・パラリンピックのテスト大会事業を巡る入札談合疑惑も浮上している。東京地検特捜部と公正取引委員会が、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で大手広告会社「電通」などを捜索。これまでに、電通の元幹部が人脈を駆使し、2億円近くの賄賂を得ていたことも明るみに出ている。札幌市が冬季五輪の誘致を目指しているが,もろ手を挙げて賛成する人は少なかろう。
 政治の世界でも、わずか1か月足らずの間に、3人の閣僚が辞任に追い込まれた。事実上の更迭だ。さらに、母親が地元事務所の賃料の確定申告をしていなかった問題を抱える閣僚の去就が取り沙汰されている。「検討します」という答弁が目立つことから、「けんとうし」と揶揄さる岸田首相の判断の遅れから、国会審議にも混乱が生じている。
やっと収束するのか、と思われた新型コロナウィルスの感染者の増加傾向を示す。年末にかけ、第八波の到来もささやかれている。
 間違いかもしれないが、喝を入れたいことが多すぎる。(時)
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未来の小窓(129) 先立つ不孝

 「先立つ不孝をお許しください」。あまり耳にする機会もなくなった言葉だが、親を残して亡くなった遺書では定番だった。子は生きているだけで親孝行という考えから生まれたものだ。残念ながら「不孝」を「不幸」と間違える人もいるようで、有名な歌手の遺書が、「不幸」になっていたような記憶があるが、どうだろうか。
 まさに家族にとっての「不幸」とも言えるのが、子どもがベランダなどから転落し、亡くなる事故ではないか。陽気が良く、窓を開けることが多い春と秋が多いそうで、今月だけでも、大阪府豊中市や千葉市、青森県八戸市で男児が亡くなっている。専門家は「鍵を締めたうえ、補助錠を付けたり、ベランダの柵の近くに踏み台になるような物を置いたりしないことが大切」と指摘している。ベランダの柵の高さは転落防止のために110センチ以上にする基準があるそうだが、実験では、自分の身長より高い140センチの高さでも乗り越えることができた。エアコンの室外機は、手すりから60センチは離す必要があるという。
 コロナ禍もあって、少子化は加速している。テレビのニュースは、今年の出生者は80万人を切ると報じていた。地方では生まれてくる赤ちゃんに比べ、亡くなる人は驚くほど多い。成長すると、都会に出ていく若者もおり、地方都市の人口減少の流れは止まらない。より一人ひとりの子どもの命が大切になってくる時代だけに、「先立つ不孝」の痛ましい事故に思いをはせざるを得ない。(時)

未来の小窓(128) 無園児

 漢字の語源を調べると、驚かされることがしばしばある。「無」の4つの点は人の足を表し、踊り始める前の時間が止まっているように感じる瞬間を示している。雨乞いの踊りに由来し、足が外にむくと、「舞」という字になるそうだ。神事に由来する漢字なのに、「無」は「自信がない」「財布がなくした」など、マイナスの場面で使われることが多い。
 「無園児」という言葉を西日本新聞の先日の記事で知った。3歳を過ぎても、幼稚園や保育園に通っていない未就園児を指す。支援がない(無援)と、周囲とのつながりが乏しい(無縁)をかけた言葉で、子育て支援団体などが使っているという。無園児になってしまうのは、親が産後のうつで、精神的に不安定だったり、アルコールや薬物の依存症になったりしているケースのほか、「望まぬ妊娠で生まれた子どもだった」という思いが、通園させない選択につながっている。2017年の調査では、14万人にのぼる。
 北里大学の研究グループのデータ分析でも、3歳児の約5%が無園児で、低所得や外国籍など社会的に不利な家庭に多い傾向が明らかになっている。西日本新聞の記事では、過去15年間の虐待事案のうち、自治体の検証で、無園児が6割を超えたと報じていた。
 いうまでもなく、子どもの成長には、人とのかかわりが欠かせない。保育園や幼稚園に通うことで、「おはようございます」「こんにちは」「いただきます」といった基本的な挨拶や習慣を学ぶ。
社会の分断が進んでいる。家庭の格差も広がっている。無園児の割合はさらに増えるだろう。行政や社会が無園児の家庭にどう差し伸べていくかが問われているのかもしれない。(時)

 未来の小窓(127) 体力低下

 新型コロナウイルスのニュースに初めて接したのは2019年初めだった。感染者や死者の多さに驚き、マスクの着用、手洗い、うがいの励行の呼びかけに戸惑った覚えがある。3年目を迎え、「マスクの生活」はあたり前になった。マスクで顔が判然とせず、挨拶されるまで知人と気づかないこともある。街は小康状態になった感もあるが、テレビでは第八波を警戒する声が大きくなっている。
 スポーツ庁は先月、6~79歳の男女を対象とした体力・運動能力調査(2021年度)の結果を公表した。年代に応じて、50メートル走やボール投げなどの体力テストなどの結果を点数化し、合計点の平均値を算出したところ、小中高校生の合計点(平均値)が、コロナ禍前の2019年度と比べて低下傾向が目立った。コロナ禍で運動する機会が減っていることが大きな要因という。
 ちなみに、2020年度は分析に必要なサンプルが例年の6分の1程度しか集まらず、前年度との比較できなかったそうだ。
 子どもたちだけでなく、高齢者も同様だ。感染した場合に、若年者と比べると、重症化したり、死亡したりするリスクが高いとされることから、感染に対する不安を感じ、外出やスポーツジムの利用を控える人も多かったのだろう。週末に自宅近くの公民館で行われている碁会囲碁も参加者が減っている。飲食店での会食を1年間以上もしていない、という人にも会った。
 学校が休校になったり、在宅勤務が増えたりしたことで、心と体が蝕まれた人も少なくない。活動の範囲や回数が減った高齢者の場合、新たな運動習慣を取り戻すのは難しいケースもある。改めて、子どもも大人も元気に「コロナ」に立ち向かっていくことの大切さが分かる。(時)
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