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未来の小窓(117)少子化

  福岡県久留米市の三井中央高校が2024年4月以降、新入生の受け入れを停止し、すべての生徒が卒業する2026年に閉校することになった。久留米市教委が明らかにし、新聞やテレビが一斉に報じた。久留米市、小郡市、朝倉市、大刀洗町で構成する組合が運営している公立の女子高校で、定員(120人)割れが続いているほか、校舎の老朽化も深刻だという。
  女子高校と言えば、「良妻賢母」を育てる教育というイメージを持つ人が多かろう。社会人として、「腰掛け」で、数年間働いて、「寿退社」し、専業主婦として暮らすというころと様変わり、ジェンダー平等が強調される時代となったことも、受験生の減少、定員割れの背景にあるのかもしれない。
  さまざまな予測が巷にあふれているが、人口の見通しだけは、外れることはめったにない。だれでも、1年で1歳しか年は取れない。15歳で高校を受験、18歳で大学を受験するのが一般的だ。 
  2021年の出生数は約81万人で、過去最少を更新した。一人の女性が生涯に産む子どもの推計値「合計特殊出生率」も1・30まで落ち込んでいる。「団塊の世代」が生まれた戦後まもない第一次ベビーブームのころに比べると、子どもの数は3分の1になっている。
  少子化は学校や幼稚園、保育園を直撃している。文部科学省によると、2020年度までの19年間に、小学校5678校、中学校1721校、高校など1181校が廃校となったそうだ。10年後、20年後の「学びの場」はどうなっているのか。「待機児童」という言葉が懐かしく思える時代が来るかもしれない。日本にとって、少子化問題が最大の課題だということが、政治の現場はどこまで分かっているのか。(時)
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未来の小窓(116) 白書

 中央省庁が毎年、政策課題や統計などをまとめた報告書を「白書」と呼ぶ。初めて登場したのは、1947年の「経済白書」(現・経済財政白書)だ。「もはや『戦後』ではない」との名文句で注目を集めた56年の経済白書はあまりにも有名だろう。英国の役所が作る報告書の表紙が白く、「ホワイトペーパー」と呼ばれたことに由来するそうだ。先ごろ、国の基幹統計「建設工事受注動態統計」で、二重計上などの不正が明るみに出て、大騒ぎになったが、人口までも水増しをしているというお隣の国ほどのごまかしはないだろうと思いたい。
 官僚が熱心な仕事ぶりをアピールするかのように、白書は分厚かった。近年、ページ数を減らす取り組みが進んでいることを新聞が報じていた。国民に「読まれる白書に」という考えからだろう。ページ数が多い本が読まれなくなったのは、昨今の活字離れと無縁ではあるまい。テレビ番組も「分かりやすさ」がテーマになっているような気がする。
 経済学者の佐伯啓思・京都大名誉教授は、著書「さらば欲望」(幻冬舎新書)のなかで、「難解な文章の読解が忌避され、できるだけ身近な読みやすい教材が選ばれる」「ツイッターなどの『いいね』式の文章やLINEの短いメッセージが横行すれば、読解力も表現力も低下しない方が不思議だ」と指摘している。
 「読まれる文章に」という考えはよく分かるが、白書のページ数削減は、簡明さや即効性を求め、難しいことから距離を置くようになった国民に迎合しているようにも見える。新型コロナウィルスでも、政府に国民は強い対策を求める一方、外出制限を嫌った。休業した飲食店のなかに、前年度の申告した売り上げとは関係なく、補償を求めたケースもあったと聞くが、どう考えたら良いのだろうか。短絡的な文章に慣れてしまうことで、しっかりと社会を見つめることができなくなってしまわないか。(時)

未来の小窓(115) 臨まない妊娠

 米国・バイデン大統領への審判とも言える中間選挙が11月に迫った。選挙では、人工妊娠中絶問題が主要な争点に浮上しているそうだ。女性の権利を重視する中絶賛成派、人工中絶を殺人とみなす反対派との対立は、収まる気配がみえないという。アラバマ州では中絶を禁止する州法が施行され、違反すれば、手術した医師らは最高で99年の禁錮刑が科せられると、新聞が報じていた。
 米国と比べると、日本は「中絶天国」と言って良いかもしれない。年間の中絶件数は例年、十数万件にのぼっている。10代に妊娠した人の半数以上が中絶しており、その件数は1万件をはるかに超えていると聞く。厚生労働省の人口動態統計によると、2021年に生まれた子供の数は過去最少の81万1604人。中絶件数がゼロなら、出生数は100万人近くまで増えていた計算になる。
 当ネットワークは7月29日、福岡市私立保育士会とともに子育て応援会を開いた。講師は、子どもの心の問題に詳しい精神科医師の吉田敬子・メンタルクリニックあいりす院長。コロナ禍とあって、オンラインでの開催となった。講演のなかで、吉田院長は赤ちゃんに温かい気持ちを持てない母親もいることに言及、愛情を妨げる要因は、「望まない妊娠」が最も多い、とした。望まない妊娠が、中絶や出産後の虐待につながっていることは想像に難くない。
 新型コロナウィルスの感染拡大もあって、出生数だけでなく、婚姻数も減少している。1975年に25・7歳だった第1子の出産年齢は、30歳を超える。晩婚化で、出産年齢が遅くなると、きょうだいの数は増えない。静かなる有事といわれる人口減少は、最大の課題であることを考えると、中絶をめぐる問題がもう少し大きな議論になっても良いかもしれない。(時)

未来の小窓(114) オイカンムリ

 夏休み真っ只中。小学生の孫の宿題をのぞくと、漢字の書き取りをしていた。部首も記入するようになっており、「者」がオイカンムリということを恥ずかしながら初めて知った。オイガマエとも言うようだが、有名なウカンムリやニンベンなどは違い、知っている人も少なかろうと思うが、どうだろうか。ほかに、同じ部首の漢字に「老」や「考」があった。
 興が湧き、漢字の語源図鑑(かんき出版)で、由来を調べたところ、「元々の意味は、積み重ねた薪に下から火を付けて煮る」とあった。「者」の上に、さらに「日」を添え、陽射しで煮えるほど暑いとしたのが「暑」になるそうだ。語源を調べるだけで、汗が噴き出しそうになった。
 地球温暖化のためか、猛暑や豪雨が列島を襲っている。各地で猛暑日が続き、岐阜県多治見市や愛知県豊田市など、「気温38度超え」のニュースも相次ぐ。気温の上昇は日本だけの問題ではない。今のような暮らしを続けた場合、2100年には世界の平均気温が、現在より最大で、4・8度も上昇するといわれている。北極海や南極海の氷が解けて、海面の上昇も懸念されている。海面が上がれば、干潟が消滅、そこに暮らす生き物も生息も難しくなる。大きな都市は海に面し、広がっているので、海中に沈む地域も多いといわれる。
 夏休みと言えば、蝉捕りや魚捕りに明け暮れる子どもを見かけていたが、このところ、近くの公園や小川でも遊んでいる子どもはすっかり影を潜めた。あまりの暑さに、外遊ぶができなくなっているためだろうか。猛威を振るう新型コロナウィルスのためだろうか。 ひと昔前の子どもたちが持っていた、夏休みのワクワク感が薄れていっていることだけは間違いないだろう。(時)
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