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未来の小窓(100) 支持率

 内閣支持率と与党第一党の政党支持率の和が50ポイントを下回ると、内閣が倒れるか、政権運営が難しくなるという。参院のドンといわれる元参議院議員、青木幹雄が唱えたことから、「青木の法則」と呼ばれる。内閣の安定度を示す指標だ。
 NHKの4月の世論調査によると、岸田内閣を「支持する」と回答した人は53%、「支持しない」は23%だった。支持する理由は「他の内閣より良さそうだから」が42%、「支持する政党の内閣だから」が19%だった。政党支持率は38・9%で、その和は90%を超えているから、青木の法則に従えば、岸田内閣は安定しているのだろう。
 悲願の総理に登り詰めた岸田文雄首相は、支持率を相当に気にしているらしい。国民の動向にも敏感で、反発が強いようだと、政策を変更したり、取りやめたりすることにためらいがないように見える。自分が決めたことに固執する印象があった菅義偉・前首相を反面教師にしたのかもしれない。
 参院選を前に、与党の自民、公明両党からは相次いで緊急経済対策案が発表された。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格や物価の高騰を意識し、ガソリン価格を抑えるための補助金引き上げ、生活困窮者向け支援の拡充などだ。例によって、「ばらまき好き」な公明党は予備費の活用ではなく、補正予算の作成を求めており、選挙で「公明票」がほしいようで、政府は公明党に押きられそうな状況だ。財源には棚上げしたようだから、またぞろ国債で賄うのだろう。生活支援は大切なのは言うまでもないが、どの政党も財政規律という言葉は無頓着なことに驚く。
 このところ、与党だけでなく、与野党双方が、国民の支持を取り付けようと、ばらまき合戦に走っている感が否めない。国の将来を真剣に考える有権者を愚弄しているようしか見えない。(時)
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未来の小窓(99) レーシトが品薄

 駄菓子屋といえば、ブリキの枠にガラスが埋め込まれた容器、茶色の馬糞紙を連想してしまうのは昭和世代だろう。馬糞紙はわらなどを原料としたボール紙。名前の由来はその色からなのはいうまでもない。今のように、一つひとつに包む「個別包装」は考えられない時代で、量り売りの菓子を包むために使われていた。支払いももちろん現金だけだった。その後、スーパーにはレジが登場し、馬糞紙も目にすることもなくなった。
 ウクライナに侵攻したロシアに対し、欧米などの経済制裁が続くが、スーパーでは、生活必需品だけでなく、レジのレシートも品薄になっている。14日午後、福岡市内のホテルで開かれた講演会で、中村逸郎・筑波学院大教授が話していた。ソ連の崩壊後、ロシアでは欧州の機器が流入し、スーパーではセルフレジが浸透しているが、今回の経済制裁で、レシートの用紙も入手できなくなったという。
 レシートがなくても、現金でやりとりすれば済む話かもしれないが、少ない店員ではうまく対応できないことは容易に想像できる。セルフレジに慣れた消費者も戸惑うに違いない。商品が入荷せず、先行きも見通せないなか、ロシアのスーパー経営者も営業をいつまで続けるか、頭が痛いたいのではないか。
 セルフレジは、国内でも目にするようになってきた。店員の負担を減らし、省力化につながるそうだ。生産性向上に切り札ともいわれるが、万引きと見られないかという不安、会計に手間取り、行列に並ぶ人から視線を集めてしまう恐れなどを抱く消費者もいる。「セルフレジで、焦ってしまい、後ろの客から舌打ちされたことがある」という人の文章を目にしたこともある。
 グローバル社会といわれて久しいが、ロシアの「レシート問題」は、便利になればなるほど、どこかで歯車が狂うと、現場は混乱することを教えてくれる。近い将来、なんでもカード決済の時代になるのだろうが、ちょっとした狂いで、カードが使えなくなることはないのだろうか。(時)

未来の小窓(98) 五感

 動物やヒトが外界を知るために働かせるのが五感といわれる。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を指す。新型コロナウイルスに感染すると、嗅覚に異常が出るケースもあるようだが、一つでも機能が失われると、日常生活に支障が出ることは、容易に想像できる。感染すると、次第に五感が奪われていく奇病が蔓延する世界を描いたイギリスのドラマもあった。
 評論家の輿那覇潤さんは「今の時代は、五感のうち、視覚情報だけ飛躍的に発達。目ばかりを酷使する『過剰可視化社会』ではないか」と指摘している。背景には、多様なメディアの発展があるそうだ。NHKラジオのカルチャー番組で講演していた。
輿那覇さんによると、国家は都合を悪いことを隠す傾向があるので、30年ほど前から「情報の見える化」(可視化)をすれば、民主的な国家が生まれる、という大きな流れができたという。たくさんの写真や映像があふれるようになり、個人が発信できるSNSも登場した。SNSは民主主義を進化させるツールと期待されていた時期もあったが、今では「プラス面」はあまり言われなくなった。
 SNSの世界では、対面する時には感じ取れていた触覚的な感覚がなくなり、言語だけを「視覚」で介するようになった。今回のコロナ禍は、その傾向に拍車をかけたようで、SNS絡みの犯罪も増えている。実在の企業などになりすましたメールを送りつけ、偽サイトに接続した人に個人情報を入力させて盗みとるのがフィッシング詐欺も急増している。未成年の子どもが巻き込まれるケースも少なくない。
 SNSだけでなく、ゲームにはまってしまい、画面ばかりを見つめる生活が続く若者もいる。視覚ばかりに頼らず、五感を働かせない日々が続くようだと、ヒトの姿も変わってしまうのかもしれない。(時)

未来の小窓(97) 騙り

 もっともらしく、巧みに話しかけて、 金品をだまし取ることを騙りという。時代劇ではおなじみの言葉だ。東京・府中市で、金融機関の現金輸送車が、白バイ警察官に扮した男に約3億円を奪われた「3億円事件」、皇族の御落胤と偽り、偽の結婚披露宴をした「有栖川宮詐欺事件」などが思い浮かぶ。詐欺よりもやや大がかりな印象がある。泥棒ではないが、騙りも「浜の真砂が尽きるとも」だろう。
 現代版の騙りと言えば、フィッシング詐欺かもしれない。実在する公的機関や企業をかたったメールを送り、偽サイトに誘導後、個人情報を盗み取る。2021年の報告件数は、過去最多の52万件を超えたという調査結果も読んだことがある。
 子育て支援に取り組む当ネットワークにもたくさんの不審なメールが大量に送られてくる。「お客様がお持ちのJCBカードが第三者により不正使用された可能性を検知しましたので、ご連絡を差し上げます」「異常な動作が検出されたため、お客様の資産への損害を防ぐためにアカウントをロックします」「ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限していただき」など、不安を煽る内容が目立つ。すっかり有名となったアマゾンやメルカリからの通知もある。
 あの手この手で騙そうとしていることがうかがえるが、アマゾンやメルカリを利用したことはない当ネットワークは詐欺メールと判別できる。手当たり次第に送る「犯罪者」を厳しく取り締まることはできないのだろうか。
 内閣府の「治安に関する世論調査」(21年12月~22年1月)によると、8割を超える人が日本の治安が良いと回答したものの、不安を感じる犯罪として半数以上が「特殊詐欺や悪質商法」、「不正アクセスやフィッシング詐欺」を挙げていた。要因として、「偽情報を含む様々な情報がインターネットで氾濫」、「人と人とのつながりが希薄」などとしている。インターネットで便利な時代になったのは間違いないが、新たな犯罪も生まれていることをしっかりと自覚したい。(時)

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