fc2ブログ

未来の小窓(96) 5000円

 徒然草の117段に、悪い友と良い友が紹介されている。嘘を言う人や欲深い人などが悪い友。良い友として、医師、知恵ある人とともに、物をくれる友が挙げられている。良い友はともかく、悪い友のなかに、身分の高い人や、健康で頑健な人が入っているのが興味深い。弱い立場の人の気持ちが分からないということなのだろう。
 年金受給者らへ臨時給付金として、5000円を支給する案が浮上している。自民党が発案し、公明党の賛同を得て政府に要請した。2022年度の公的年金受給額は、前年度から0・4%の減額が予定されていることを踏まえた措置だが、自民党内では「何の議論もなかった」と反発する声も上がっている。唐突感は否めない。歴代の首相よりも支持率を気にする感がある岸田文雄首相は例によって「検討する」と慎重な答弁に終始しているが、「現金給付好き」の公明党に押しきられてしまうかもしれない。国民の間から「今夏の参議院選目当てのばらまき」という批判がでるのもの当然だろう。読売新聞の世論調査でも、6割を超える国民が「反対」と回答していた。
 自民、公明両党は、新型コロナウイルスの経済対策として、18歳以下の子どもへ10万円相当の給付を決めている。所得制限を設けているものの、「ばらまき」「不公平」との批判が相次いだ。有権者の気を引くために、国の財政を顧みず、子育て世帯に続き、投票率の高い高齢者に5000円を配ろうという「身分の高い」政治家を、徒然草の著者、吉田兼好は「良い友」として評価するのだろうか。
 もっとも、野党のなかには、財政事情を顧みず、消費税の廃止を訴える政党もある。「物をくれる」ことばかりの熱心な政治家ばかりに見える。(時)
スポンサーサイト



未来の小窓(95) ガソリンスタンド

 大分県杵築市大田地区で唯一のガソリンスタンドの経営者夫婦が高齢となり、閉店を決めたところ、利用者の有志が、存続を目指して、合同会社を設立した。杵築市報で紹介していた。利用者らが老朽した地下タンクの更新費用400万円をクラウドファンディングで募ったところ、2倍以上の資金が集まったそうだ。
 杵築市の人口は約2万8000人。国東半島の中央部に位置する大田地区には約1100人が暮らす。高齢化率は5割を超える。車両の給油だけでなく、農業機械の燃料、灯油などの配達を行うガソリンスタンドは、生活に欠かせない施設となっている。
 全国的にみると、ガソリンスタンドは加速度的に減少している。ピークだった1994年度は6万店を超えていたが、現在は3万件を切るまでになっている。燃費の良いハイブリット車の普及や少ない利用者を奪い合う過当競争もあって、厳しい経営を も大強いられているガソリンスタンドも多い。
 ガソリン価格の高騰に対応し、政府は石油元売り会社に補助金を支給している。卸売価格の引き下げで、小売価格を下げようという狙いだが、効果はあまり出ていない印象だ。「価格を引き下げる余裕はない。これまでの赤字分を補填したい」という経営者もいると聞く。
 気候変動の危機が叫ばれるなか、電気自動車(EV)への移行は、世界的な流れと言っても良い。ハイブリット車も含めたガソリン車の新車販売を禁止を目指す国もある。世界で最大の市場の中国も、2035年までにEVを新車販売の主力にする政策を掲げる。燃費の良くない「名車」を称賛するような番組があるが、放送しているテレビ局はなにを考えているのか。首をかしげる向きもあるかもしれない。
 現在のEVは、価格が高く、一度の充電で走れる航続距離が短い。今回の元売り各社への補助金はEVの利用者にメリットはない。政府はむしろ、性能を高める次世代電池の開発や充電設備の充実などに力を注ぐべきではないか。(時)

未来の小窓(94) リーダーシップ

 もう40年近く前になる。ある市長選の公開討論会を取材したことがある。対立陣営から「行動力がない」「「率先して動かない」などと批判された現職候補は「リーダーシップはないかもしれないが、先頭に立って突き進む市長が良いですか、市民と話し合いながら、時には間違うかもしれないが、一緒に歩み続ける市長が良いですか」と語りかけた。会場は大きな拍手に包まれ、選挙は現職候補が勝利した。堂々と「間違うかもしれない」と言及したことが印象に残っている。
 最近、書店をのぞくと、「言い換え」をテーマにした本が目につくような気がする。帯を見ると、「疲れている?」よりも「元気だった?」、「つまらないものですが」よりも「「気持ちばかりですが」の方が、「損をしない言い方」という。「人は話し方が9割」(すばる舎)はベストセラーとなって、どうやら100万部を突破したそうだ。
 言い方を勉強したのか。性格のためか。どんな質問にも、岸田首相は「安全運転」の答弁を心がけていることがうかがえる。ロシア軍のウクライナ侵攻で、エネルギー問題が浮上しているが、ガソリン価格の高騰時にガソリン税の上乗せ分を一時停止する「トリガー条項」の凍結解除について、「あらゆる選択肢を排除せず検討する」、米国や欧州各国でロシアの航空機に自国領空の飛行を禁止する制裁の動きが広がっていることについて、「日本として制裁の可能性はまだいくつもある。何が効果的か、いつが適切か、しっかり判断したい」と答弁している。広大なロシア上空を通過できないと、飛行時間が長くなると、燃料費や人件費の負担も増えることに配慮したのだろうか。
 慎重な答弁に終始するなら、失言はないだろうが、一国を束ねるリーダーの発言には思えない。国をどうするのか、自らの思いはないのだろうか。かと言って、リーダーシップは認めるが、「大きく間違っている」プーチン・ロシア大統領や自国の権益ばかりを主張する中国の習近平・国家主席のような指導者になっても困るのだが。(時)

未来の小窓(93) ロシアへの怒り

 通販会社「ジャパネットたかた」の番組やCMを見たことがないという人は少なかろう。創業者は高田明さん。テレビでおなじみの甲高い声を懐かしく思い出す人も多いだろう。グループの連結売上高は2400億円を超える。一日に6億円以上も売り上げている計算になる。
 過日、高田さんの講演を聞いた。北朝鮮の相次ぐミサイル発射を言及し、「いくら考えてもどうしようもないことが世の中にはある」としたうえで、「悩んでもどうにもならないことも多い」と続けた。会社が大きく成長したのは「目の前のことを無我夢中でやっていたら、今の会社になった」と振り返っていたのが印象に残っている。
 考えてもどうにもならないかもしれないが、憤りを覚えながら、i深刻に深刻に考えざるを得ないのが、現在のウクライナだろう。ロシアは「ウクライナ政府によるロシア系住民の虐殺」は侵攻の口実に挙げるが、国際社会からの共感は全く得られていない。軍事力で空港や道路を破壊、子どもを含む民間人を殺害しているのは暴挙というほかはない。武力のみを信奉する相手に、武力しか対抗できない現実は思い知らされる。憤りを禁じ得ない。
 北朝鮮といい、中国といい、ロシアといい、どうしてこれだけ自らの主張だけ押し通す国が次々と生まれるのか。昨年一年間に生まれた子どもは約84万人だが、この子どもたちが社会人になったころはどうなっているのだろうか。酷暑、大雨、干ばつ。地球がおかしくなっているのは間違いない。国連の専門家組織も異常気象で、深刻な影響を受けやすい地域に暮らす人は33億~36億人にも及ぶという報告としたという新聞記事も見かけた。異常気象の地球を、無法国家が牛耳っているかもしれないと考えると、暗澹たる気持ちになってしまう。(時)
プロフィール

すこやか母子未来ネットワーク事務局

Author:すこやか母子未来ネットワーク事務局
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR