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未来の小窓(79) 木枯らし1号

 テレビドラマ「木枯らし紋次郎」は、ニヒルな渡世人が主人公だった。天保年間(1831~1845年)、上州新田郡三日月村生まれという設定で、薄汚れた道中合羽を羽織り、長い楊枝をくわえた姿が思い出される。主人公が悪者をバッタバッタと斬っていく、おなじみの時代劇とは異なり、刀をあまり打ち合わず、振り回したり、剣先で突き刺したりする殺陣が話題を集めた。
 紋次郎の決め台詞は「あっしには関わりのないことでござんす」と記憶していたが、インターネットを検索すると、テレビでは「あっしにゃぁ関わりのねぇこって…」という台詞だったそうだ。「ねぇ」が「ない」に替わり 無宿の渡世人という設定から、語尾に「…ござんす」が付けられて、流布したとある。木々が葉を落とし、花も変色させたりするほどの冷たい風が木枯らしだが、渡世人にお似合いの通り名だったと言えよう。
 この時期の気象用語「木枯らし1号」は、東京地方と大阪地方だけで発表されることを、ラジオの気象予報士が紹介していた。対象期間は、東京では10月半ばから11月末まで、大阪は霜降(10月23日ごろ)~冬至(12月22日ごろ)まで。大阪は毎年のように発表されているが、東京では18年と19年は、木枯らし1号が発表されなかった。今年も大阪では、10月23日に木枯らし1号が吹いたが、残りわずかとなった東京は果たして吹くだろうか。
 海面上昇、干ばつ、熱波、大雨など、温暖化が原因とみられる事例の報告が相次ぐ。米国北西部では、深刻な干ばつに見舞われているそうだ。木枯らしの「消失」も、温暖化と関係がないのか。深く積もり、音を吸い込むような深雪(みゆき)、肌を刺すような厳冬といった冬の言葉も「消失」してしまうのだろうか。(時)
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未来の小窓(78) 第6波の備え

 11月に入って、マスクをしていない人を見かけるようになった。新型コロナウイルスの新規感染者が全国的に減少しており、第5波のころより、気持ちがゆるんでいるのだろう。まだマスク姿をしている人が多いだけに何とも目につく。
 減少した理由の一つとして、ワクチン接種者が増えたことが挙げられている。接種のスタートこそ遅かったもの、2回の接種を終えた人は9600万人を超え、接種率は76%にのぼっている。
 接種率が7割を超えても、感染者が増えている国もある。お隣の韓国では「人口の70%接種」という目標を達成、11月から飲食店の営業時間制限を解除したところ、感染者が急増、過去最多を更新している。ワクチンの接種率が7割弱にとどまっているドイツも同様に感染者が増えている。気温が下がり、屋内に人が集まるようになっていたことが増加の理由という。
 日本でもいよいよウイルス感染症が猛威をふるう季節を迎える。気温15度以下、湿度40%以下の環境下では、ウイルスは表面の水分を失い、空中に浮遊、生存期間も長くなるため、 感染も広がりやすくなるそうだ。体温が1度低くなると、免疫力が30%低下する、といわれており、第6波に備え、専門家は「引き続き、手洗い、うがいの励行や換気」を訴えている。
 民間信用調査機関「東京商工リサーチ」のアンケートによると、忘年会、新年会を「開催しない」と回答した企業は、回答した8174社の70・4%に当たる5760社だった。前年12月に実施した調査では、「開催しない」が94・2%。23・8ポイントの回復したものの、「飲食自粛」の傾向は変わっていない。コロナ前のような賑やかな忘・新年会が戻るのは難しそうだ。
 「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助は「どれほど心配したところで未来もどうなるものでもない。いま、現在に最善を尽くすことである」という言葉を残している。マスクの生活は面倒で、息苦しいのは間違いないが、終息を目指すなら、気を緩めずに、最善を尽くすしかないだろう。(時)

未来の小窓(77) 即起

  「即起」という熟語を、「安岡正篤活学一日一言」(致知出版社)で知った。しらじらと夜が明けてきたらすぐに起きるという意で、寝床のなかでぐずぐずしていてはいけないと説いている。「そっき」と音読みにした方が良いそうだ。
 戦後政治のなかで、保守派の長老として知られる安岡は、歴代の首相が師と仰いだ。施政方針演説の推敲を依頼していた首相もいたそうだ。「日本の黒幕」とも言われたが、「ただの教育者にすぎない」と考えていた安岡は「黒幕」と言われるのを嫌がったという。
 昔から早起きは三文の得とされてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、夜更かしをする子供たちが増えているらしい。睡眠の大切さを訴える「睡眠教育」(眠育)に取り組む大阪府堺市の昨年の調査(全小中学校の約3万4000人が対象)で、「午後11時までに就寝」と答えた児童の割合は、小学校6年生で70・8%(19年比3・1ポイント減)、5年生で80・8%(2・6ポイント減)だった。睡眠時間を削って、スマートフォンやゲームを楽しんでいる小中学生もいるようだ。
 今回のコロナ禍では、学校を休みがちになる子供も増えている。文部科学省の調査でも、病気や経済的理由などを除いて年30日以上欠席した不登校の小中学生が19万人を超え、過去最多となっている。不登校の理由として、「無気力、不安」が半数近くを占めた。
 子どもを取り巻く問題は、不登校だけではない。自殺した小中高生も415人にのぼる。前年度より100人近く多く、過去最多だったが、「自殺と報告しない教育委員会もあるはずで、実態はもっと深刻」という専門家もいる。
何と言っても、規則正しい生活の基本は早寝早起きだろう。これから寒さが増す時期を迎えるが、国全体で「即起」を広めなくてはならないだろう。(時)

未来の小窓(76) 首相の言葉

 「知の巨人」とも言われるキケローの名前を耳にするようになった。古代ローマを代表する哲学者で、政治家としても活躍した。日本ではあまりなじみのないようだが、有名な雄弁家との名前が取り沙汰されるのは建て前の論議に終始したり、はぐらかしたりする政治家が目につくことも背景にあるのかもしれない。
 政治は突き詰めて言えば、言葉のやり取りといわれる。欧米では指導層になるために、教養として、上手なスピーチが必須なっていると聞く。冗舌よりも寡黙な男性が評価されがちで、「巧言令色」と故事熟語も有名な日本では、気の利いた挨拶ができる社長も少ない。スピーチが上手という政治家にもなかなかお目にかからない。竹下登・元首相は「言語明瞭 意味不明瞭」と揶揄された。まわりくどい表現が多く、何を言いたいのか分からなかったからだ。原稿を棒読みにしていた菅義偉・前首相に比べ、岸田文雄首相はまだ、自分の言葉でしゃべっているように見えるがどうだろうか。
 政権選択選挙と言われた今回の総選挙は、立憲民主党の惨敗に終わった。テレビの映像でしか知らないが、枝野幸男代表のスピーチも、与党を非難し、叫んでいるだけようだった。天皇制を否定し、日米安保条約の廃棄を党是とする共産党と手を組んだものの、米国の軍事的な圧力がなくなれば、沖縄の尖閣列島も中国に占領されてしまうのではないかという懸念を払しょくできなかった。新型コロナウイルスの新規感染者が減少、収束のきざしが見え始めたのに、与党のコロナ対策は「後手に回っている」という主張にもあまり共感は広がらなかった。
 岸田首相は「新しい資本主義」を唱えている。賃上げした企業への補助、公的価格の抜本的な見直しを主張しているが、具体的な内容が分からないので、何とも言えない。言葉だけが空回りしていなければ幸いだ。(時)

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