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未来の小窓(44) ふくろ絵馬

 古来、馬は神様の乗り物とされてきた。願いごとを叶えるため、生きている馬を神社に奉納するようになった。この習わしが現在の絵馬につながったそうだ。願い事とともに、住所や名前を書くのは、江戸時代から始まったらしい。
 武蔵の国の一宮、氷川神社(埼玉県さいたま市)は、2キロにも及ぶ参道とともに、「ふくろ絵馬」で知られる。手のひらサイズのきんちゃく袋に願い事を書いた紙を入れ、奉納する。きんちゃく袋は10種類。インスタ映えすることから、並んだふくろ絵馬の前で写真に納まる参拝客も多い。
 ふくろ絵馬が登場したのは、2019年10月。絵馬には、志望校や添い遂げたい相手を書かれることもあり、個人情報保護の観点から、第三者に見られないように配慮したという。他人が奉納した絵馬の祈願文を読むのは罰当たりなことだろうが、祈願の内容が総選挙の当選や甲子園出場なら、ご利益があったかどうかが分かってしまうのも、神社にとっては問題かもしれない。
 無料通信アプリ大手「LINE」の利用者情報が、業務委託先の中国企業から閲覧可能だったことが分かった。政府が企業に情報提供を強制できる国だけに、問題は深刻だ。国内の利用者は8600万人にのぼり、スマホ決済やネット通販といったサービスにも使われている。
 運営会社は今後、データの保管などを国内に限るといった改善策を発表した。委託先の企業が、罰当たりな行為をしていないことを信じることしたできないのが、何とももどかしい。(時)

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未来の小窓(43) 特定妊婦

 大きな事故が起きるたびに、「想定外だった」という釈明を耳にする。リスクを全く予想できなかったのか、予想はしていたものの、きちんとした対策が必要とは考えなかったのか。前者はどうすることもできないかもしれないが、後者はちょっとした想像力があれば、対応できるのではないか。取引が多くなる月末に、たくさんのデータの移行作業をしたみずほ銀行の担当者は、まったく想像力に欠けていたと言えるだろう。
 予期せぬ妊娠や経済苦などで、育児するうえで、「公的支援が必要」と行政から認定された「特定妊婦」についての調査結果が発表された。制度が始まったのは2009年。初めての年は994人だったが、10年後の18年には7233人になった。新型コロナウイルス禍で、収入が減り、行き場がなくなってしまう母親も増えており、行政の支援までつながらない妊婦も少なくないという。
 今回のコロナ禍では、出生数も減っている。厚生労働省が公表した速報値によると、2020年に生まれた子供の数は87万2683人だった。速報値は日本在住の外国人らを含んでおり、日本人に絞り込んで発表される確定数は、さらに減少するそうだ。100万人を割り込んだ16年以降、出生数は減少が続いている。予期せぬ妊娠は、想像に欠けた「想定外」かもしれないが、少子化が進む今だからこそ、追い詰められた状況に想像力を働かせ、社会は手を差し伸べることが求められている。(時)

未来の小窓(42) 横板に雨だれ

 落語の「大工調べ」。聞かせどころは、何と言っても、大工の棟梁の啖呵(たんか)だろう。家賃の滞納のかたに取り上げた道具箱に返さない家主に対し、「てめえなんぞ,血も涙もねぇ、目も鼻も口もねぇ、のっぺらぼうの野郎だから丸太ん棒てんだ。人間の皮をかぶった畜生だ」とまくしたてる。 立てた板に水をかけるような啖呵に客席から拍手が起きることも少なくない。
 「立て板に水」と逆の言葉が、「横板に雨だれ」だろう。雨だれ以上にたどたどしい語り口が「横板に餅」らしい。聞いている方がじれったくなることも多い。
 菅義偉首相の会見の評判が今一つだ。最近、少し上手になったようだが、残念ながら、真摯に国民に語りかけているようには見えない。官僚が練り上げた文書を読み上げているだけでは、面白みにも欠ける。「来賓あいさつ」と呼ぶ人もいるそうだ。
 ドイツのメルケル首相は「あなた」という二人称を使って、記者の向こうにいる国民に感染対策を語りかけた。弁護士のイタリアのコンテ首相はテレビ演説で、「イタリアの法律では人の命を何よりも守らなければなりません。だから、私はそれを行使します。これから都市を閉鎖し、経済的に皆さんにご迷惑をおかけするでしょう」と訴えた。 欧米の政治家は、自分の言葉で国民に響く演説ができるかどうかが問われると聞く。
 欧米のエリートは、幼少期から話し方を学ぶそうだが、日本の政治の世界は、演説があまり重視されない。菅内閣のスポークスマン、加藤勝信官房長官も「承知している」を多用する。「承知している」で、どこまで国民に理解を求めることができるだろうか。(時)

未来の小窓(41) 難しい演技

 地上波のテレビで、時代劇を目にすることが少なくなった。水戸黄門の「この紋どころが、目に入らぬか」や「鬼平犯科帳」の「神妙に縛につけ。火付盗賊改方、長谷川平蔵である」という台詞が何とも懐かしい。
 決め台詞とともに、時代劇で定番となっているのが殺陣だろう。いくら豪快に斬り合っても、主人公が負けることがないのがお決まりだ。斬る方ばかりに目が行きがちだが、斬られ役の巧みな演技が、時代劇を支えていると言っても良い。
 女優の樹木希林さんは著書「一切なりゆき」のなかで、「殺されるとか殺すとかの劇的な場面というのは滅多にないことだから想像でやってもリアリティがあるんだけど、<誰もがやること>が難しい」と書いている。「お茶を飲む」「水を汲む」といった日常の仕草で、短気な性格や底意地の悪さなどをどう演じるか、力量が問われるという。
 新型コロナウイルス対策で、緊急事態宣言が発令されていた10都府県のうち、福岡など6府県で、2月28日、宣言が解除された。「感染者も入院者数も一定程度減った。宣言の発令が長すぎると経済がおかしくなってしまう」というのが理由のようだが、油断できない状況に変わりはない。引き続き、飲食店の時短要請や外出自粛などが求められている。
 誰もがやっていた日常の風景は、いつになったら取り戻せるのか。マスク、手洗い、うがいの繰り返しが日常となってしまうと、マスク姿の演技は一層難しくなるに違いない。(時)
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