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未来の小窓(31) 略式起訴

 聖徳太子と言えば、17条憲法だろう。最も有名な条文が「和を以て貴しとなし」だ。論語が出典で、仲良くしようと解釈するのが一般的だが、わだかまりなく話し合うことが尊いという意見もあるそうだ。調和が好まれる国民性は1400年以上も前からの伝統かもしれないが、責任の所在があいまいになりがちだ。トップが決めたはずなのに、部下が責任を取らされることも少なくない。
 安倍晋三前首相側が主催した「桜を見る会」前夜祭をめぐる政治資金規正法違反事件で、前首相の秘書が略式起訴された。「補填は知らなかった」とする前首相は不起訴処分になった。「さまざまなことを(秘書に)任せていた」と釈明している。
 「秘書だけ略式起訴」のニュースを見ながら、かつて政財界を揺るがしたリクルート事件を思い出した。リクルート社の創業者が政治家や官僚らに、グループ企業の未公開株を譲渡した事件で、受け取った政治家らが「妻が、妻が」や「秘書が、秘書が」という言葉を繰り返し、大きな批判を浴びた。
 思えば、秘書は損な役回りだ。自殺に追い込まれたり、給与を「ピンハネ」されたりしていた秘書もいた。秘書の説明を鵜呑みにし、「事務所に幾度も確認した」という前首相は、国会で118回も虚偽答弁をしていたが、議員は辞職しないらしい。身内の秘書にも騙されるような政治家が、我々のリーダーをしていたことに驚くばかりだ。法的責任はともかく、道義的な責任も取れないようなセンセイが跋扈する世界のことを子どもたちにどう教えるのか。教壇に立ちながら、頭を悩ませているセンセイもいるかもしれない。(時)
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未来の小窓(30) デジタル化

 2020年も残り2週間。恒例の今年の漢字は、「密」が選ばれた。ほかにも「疫」や「病」が候補にのぼっており、新型コロナウイルスに翻弄され続けた年だったことが分かる。
 「脱ハンコ」行政に力を入れる河野太郎・規制改革相は、記者から今年の漢字を聞かれ、「砕」と答えた。12月16日、福岡市内であった講演会で明かした。河野規制改革相が、自らの役割を砕氷船に例え、既得権益や岩盤規制という氷を割り、海面が見えたら、平井卓也・デジタル改革相がデジタル化進めていくそうだ。1か所への届け出るだけで、行政へのいろいろな届け出が完了する「ワンストップ」の仕組みを検討しており、マイナンバーを活用も進めるという。
 河野・規制改革相は「デジタル化で、窓口の業務が減れば、(その人材を)子育てや介護に振り向けたい」と説明した。国内の最大の問題は少子化問題なのに、人数も多く、投票率の高い高齢者に顔色をうかがう「シルバー民主主義」が際立ち、政治家の関心は今一つだった。数年前から、待機児童の解消や不妊治療など「出産」や「子育て」に目を向ける政治家の発言が出てきたことは喜ばしい。
 AI(人工知能)やデジタル化と聞くと、無機質な感じが否めない。AIには、子どもの成長を見守ったり、喜怒哀楽に向き合ったりはできないような気がする。人口減少が進む日本では、機械で省力化した余力を、他者の振り向け、心に寄り添うことが求められているのかもしれない。(時)

未来の小窓(29) 肝煎り事業

 大人の肝臓は、1キログラムから1・5キログラムほどもあるらしい。臓器のなかで最も大きい。慣用句では、つぶしたり、冷やしたり、太かったりするので、身近で、大切な臓器と思われていたことが分かる。「肝心要」という言葉を聞くと、時には心臓の仲間のように扱われていたこともうかがえる。
 心がいらだち、やきもきする状態が、肝が煎られたような「肝煎り」の本来の意だが、こまやかな気配りで両者の間を取り持つ世話役や組織のトップを指すこともある。
 政治の世界でも、最近、肝煎りという言葉を耳にするようになった。首相が旗を振った「肝煎り案件」だから、批判があっても中断できないと言われているのが、国の観光支援事業「GoToトラベル」だ。読売新聞の世論調査(7日付け)でも、「いったん中止する方がよい」が57%、「やめる方がよい」が20%で、8割近くの国民が否定的な見方を示している。政府は「事業と感染拡大の因果関係を示すエビデンス(根拠)がない」と強弁するが、人が動けば、ウイルスも動くのは自明の理だろう。
 事業を利用者のなかには、周囲から「こんな時期に」と非難されるのを気にし、こっそりと旅行に行く人もいる。お土産を買っても、友人や知人に気軽に渡すわけにはいかない。
 感染が落ち着いてからでも、旅行はできる。せっかくの肝煎り事業かもしれないが、いったん立ち止まることはできないのか。これ以上の感染拡大を防ぐには、今が「肝心要」の時期に思えるのだが・・・。(時)

未来の小窓(28) 大賞に「三密」

 はしか、疱瘡、天然痘――。数えあげれば切りがないが、感染症の歴史は古い。日本書紀にも「疫病で民の半分ほどが死亡した」という記述がある。江戸時代にもたびたびコレラが流行したそうだ。「節分」でおなじみの「鬼は外」の鬼は、「疫病神」で、「感染症は出ていけ」という意味だったという。
 新型コロナウイルスに揺れた2020年がまもなく終わろうとしている。今年の「新語・流行語大賞」に、「三密」が選ばれた。トップテンには「アベノマスク」や「Go Toキャンペーン」など、感染絡みの言葉が並んだ。日常生活に大きな影響を与えたことが分かる。
 「満つ」や「充つ」に通じることもあって、「3」は昔から縁起が良いとされてきた。新聞やテレビでも何度も登場しただけに、大賞も当然だろう、おなじ「みつ」でも、「密閉、密集、密接」を合わせた「三密」は、暗い感じが否めない。
 トップテンには妖怪「アマビエ」も入った。疫病の退散に御利益があるとされ、護符や御朱印のほか、飛行機の車体にまで描かれた。終息の兆しが見えないだけに、アマビエを大賞に選び、ぜひとも機嫌よく「疫病退散」に力をふるってほしい、とつい考えてしまう。(時)

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